*--Diary--*


批評について  2012/03/14(水)
3月11日  2012/03/12(月)
非課税でも載ってるのか...  2012/03/07(水)
熱海  2012/03/02(金)
税理士法違反?  2012/02/25(土)
パン  2012/02/22(水)
そう、あれは  2012/02/20(月)
金融緩和  2012/02/16(木)
雪の山なみ  2012/02/13(月)
歌の腑分け  2012/02/10(金)


批評について
    少年の夏に見上げし夕空のアメリカ映画のように遠くて

 今月の結社誌が届いたので自分の歌を探してみたら、この歌が載っていた。
この歌は以前、某歌会に出したところ、あまり評価されなかった歌である。
総評の人が、「アメリカ映画というのが分からないですね。どういう映画なのか」と
批評したのに対し、この歌を選歌した人が、
「私は昔の昭和の時代のアメリカ映画だと思いました。
回想の中の、アメリカ映画に憧れていた時代の映画だと」
「ああ、なるほど。でも、昔のアメリカ映画となっていないので、
そうは読み取れませんね。私は最近のアメリカ映画かと思いました」
私はその批評を聞いて首を傾げた。
確かに、言葉を厳密に解釈するなら「昔のアメリカ映画」とはなっていないので、
少年の夏に見上げた夕空が現代のアメリカ映画のように遠く思える、
という解釈は成り立つ。
しかし、歌は「少年の夏に見上げし」で始まっている。回想である。
当然、一首は回想の歌として読むべきであり、
そのなかに出てくる「アメリカ映画」も回想のなかにあると読むのは自然ではないのか?
それをあえて現代のアメリカ映画と読む必然はあるのか?
「昔のアメリカ映画」となっていないからそうは読み取れない?
短歌は省略の文芸である。
言葉で表されていないものをいかに感じ取るか、掬い取るか。
それが重要なはずである。
掬い取れる範囲を外れているだろうか?
正直、私にはそう思えなかった。
短歌の読みで重要なことのひとつとして、
「書かれていないことを読まない」
ということがある。
その歌に書かれていないことを読者が補って読む、
それはしない方がいいわけである。
しかし、「書かれていないことを読まない」ということと、
「言葉で表現されていないことを感じ取る、掬い取る」ということは違う。
そうでなければ省略の文芸は成り立たない。
どこで線を引くかという部分はありそうだが、
そこはひとりひとりの感性で判断することになるだろう。
どうも最近、歌会に出て批評を聞いていて、そこはかとなく不満を抱くことが
多いのである。
どの歌会がという話ではなく、複数の歌会でその傾向を感じるのだが、
パターンに頼った批評。言葉にこだわり過ぎた批評。
そういうのが多い気がする。
切り捨てるような言い方をしてしまえば、優等生的な批評。
そういうものを感じるのである。
そんなことを思いながら結社誌をパラパラとめくっていたら、
編集後記に永田淳のこの文章があった。

「歌会は発表会の場ではない。方程式にあてはめて一首のどこがいい、どこが悪い、
という批評で満足してはいけないと思う。そういう方程式にあてはまらない、訳が
分からないけれどもいい歌、というのを拙くも自分なりの言葉でもって評したいと
思っている。分からないけれどいい、という歌は確実にあるし、それを、うまく批評
できないから評しないという態度だけは避けたい。歌集批評会や誌面の選歌欄評、選歌
でも同じだろう。皆が従前とは違った批評の仕方を模索していくことで、また新しい
歌の地平が見えてくるはずだ」

Date: 2012/03/14(水)


3月11日
一年前の3月11日、事務所の応接室で顧客と確定申告の打ち合わせをしていた。
後ろから振動が来た。
後ろは北の方角、あのとき、振動は確かに北からやってきた。
しばらく座ったまま様子を見ていたが揺れが納まらなかった。
顧客は立ち上がり、私は停電に備えてPCの電源を落とそうとした。
揺れているなかで電源を落とすまでの時間が妙に長く感じられた。
ここで停電してデータが飛んだら困る、早く電源落ちろ、
そう思いながらPCを操作していた。
揺れが納まってラジオをつけると、
地震の速報と津波が来るということをニュースが繰り返していた。
アナウンサーの声が緊迫しているのが分かった。
顧客が帰ったあとで、念のため、家に戻った。
そのときは別に意識していなかったので気がつかなかったが、
事務所から家までの道路は信号機の停電もなくスムーズだった。
家の者が無事なのを確認し、しばらく話していると二回目の揺れが来た。
庭にいたゴールデンレトリバーのさくらが目を丸くしてまわりをキョロキョロしながら
起き上がった。家から事務所に戻る途中の交差点で三回目の揺れが来た。
信号機がゆらゆら揺れていた。
その後、事務所に戻って通常通りに仕事をしていた。
ラジオからは次々とニュースが流れ、ただならぬことであることが段々分かってきた。
仕事を終えて家に帰るときも途中の道路は渋滞等なくスムーズだった。
他の場所では信号が消え電車が止まり、かなりの混乱が生じたらしいが、
そういう経験をすることもなく、大震災の日、当たり前に家に帰り、
テレビで震災のニュースを見た。
仙台の海岸に数百の死体が漂着していること、南三陸町の市民の半数以上が行方不明に
なっているということ、気仙沼の大火災、次々と悲惨な状況が知らされた。
そのニュースを妙に醒めて聞いていた。
あのとき、なぜあれだけ醒めて悲惨なニュースが聞けたのか、今でもわからない。
そばにいた子供達に、
この国が変わる。今までと同じような生活が出来ると思うな。
そう言ったのを覚えている。
子供達は黙って聞いていた。
あれから一年たった。
各地で追悼の行事がおこなわれた。
あの日のことをこれからも心に刻んでいたい。
Date: 2012/03/12(月)


非課税でも載ってるのか...
社長の交代があったA社、新社長から電話があった。
「組合に聞いたら、前社長の奥さんが取締役に残っているなら建設業許可が
引き継げると言ってたんですが、どうですか?」
「残ってるだけじゃだめなんですよ。在職が証明できないと」
「登記簿に取締役として載ってますけど」
「それではダメです。社会保険入ってないし...、住民税の特別徴収の通知書に
名前が載ってればね...」
「ちょっと探してみます...。これですか...、ああ、載ってます」
「えっ? 載ってる? 住民税非課税のはずだけど載ってますか」
「ええ、名前載ってます」
建設業許可を取得するには一定の要件が必要。そのなかのひとつが、
建設業の会社の取締役としての一定の経験年数のある経営責任者。
前社長の退任に伴って新しい経営責任者が必要になるのだが、
新社長、ほんの数か月足らない。
数か月たってから新規申請すればいいという話をしていたのだが、
取引先への届け出とかもあるので、出来れば今までの建設業許可を引き継ぎ
したいということになった。
しかし、要件を満たしているのは取締役に残っている前社長の奥さんだけ。
手続きに必要な在職証明は社会保険の標準報酬月額決定通知書とかを通常は使うが、
A社、社会保険に入ってない。他の方法もちょっと使えない。
住民税の特別徴収の通知書に名前が載っていればそれが使えるのだが、
役員報酬は非課税の範囲の金額だったので、住民税の納税も当然なく、
通知書には載ってないと思っていた。
住民税非課税の人も通知書に載ってるんだ...、知らなかった。
ということは、非課税のパートをたくさん使っている会社には特別徴収額ゼロの
人達の名前がずらずらと並んだ特別徴収通知書が来るわけか...。
それって電磁媒体ならいいけど、紙媒体だったらすごい無駄だと思う(^^;
いずれにせよ、載っているならそれで在職を証明できる。
この確定申告の忙しいときに建設業許可の申請か、たはは(^^;;
Date: 2012/03/07(水)


熱海
確定申告の忙しい時になにをやってるんだと言われそうだが、熱海に行ってきた。
今年の確定申告は前倒しでスタートし、2月中にかなりのペースで進めてきた。
その甲斐あって仕事はかなり進んだのだが、
夜の12時過ぎまでの仕事が毎日続くと、さすがに疲れる(^^;
やってらんないよという気分にもなるわけで、
2月の仕事が終わった時点でちょいと休養を入れることにした。
2月の末日、厚木での仕事を終えて、そのまま熱海へ。
厚木からなら厚木小田原道路に乗れば熱海はすぐである。
折りからの雪で予定がだいぶ遅れてしまったが、
それでも4時に厚木での仕事を終わらせて熱海には5時に着いた。
熱海はバブル崩壊後の一時期、廃業したホテルの廃墟が林立して
ゴーストタウンの趣きもあったが、その後、そういう廃墟が取り壊され、
温泉付きのマンションに変わったりして明るさを取り戻した。
高速道路1000円が終わり、東京の奥座敷として客が戻ってきている気もする。
今回泊まったのは熱海偕楽園、伊豆山神社の下の小さなホテルである。
部屋と風呂から海が見えてとか、いくつかの条件でしぼっていくと、ここになった。
道路からホテルに入っていくところがかなり細くて急な道なので、
ホントにここでいいのかと思ったが、細い道を入っていくと、
海岸から伊豆山神社に続く837段の階段の傍らにあるホテルに着いた。
感じの良い仲居さんに案内されて部屋に入ると、確かに海が目の前。
向こうには初島が見える。
下を見ると、伊豆山神社の階段が海岸に続いている。
この階段の下に走り湯という温泉の源泉がある。
かっては横穴から温泉が噴き出してそれが海に滝のように流れ落ちていたという。
今でも知床あたりにそういうところがあるが、
昔はこの辺にもそういう豪快な温泉があったのである。
昔の人にも海に滝になって流れ落ちる温泉は印象的だったようで、
源実朝もこの走り湯を歌に詠っている。
ちなみに伊豆の地名もこの走り湯の湯が出ずるから、ゆず→いず、になったという。
なにはともあれ疲れているので温泉に入る。
699年開湯という走り湯の湯はちょっとぬるめだったが、
近くで新しく掘られたという源泉の方からの湯はちょうどいい湯加減だった。
風呂から出たら海を眺めながらビール。
もうだいぶ暗くなってきた。初島の灯りが見える。
確定申告はとりあえず半分以上は終わってる。
頑張ったのだから、このぐらいのご褒美はあってもいい。
夕食を終え、がっーと寝る。ともかく休養。
朝は潮騒の音で目が覚めた。
風呂に行き、海から日が昇るのを眺める。
日が昇るのを見るのもなんだか久しぶりのような気がする。
ここしばらくの寝不足を解消するとまではいかないが充分に寝たし、
うまい魚も食ったし温泉にも入った。
朝の散歩をしてチェックアウト。
熱海偕楽園はホテルとしては可もなく不可もなし。
なんせ古くて小さいホテルなので設備は仕方ないが従業員の感じはいい。家族経営なのかな?
せっかく熱海に来ているので、ちょっと市街の方に立ち寄り、あたみ桜を見る。
観光地だが平日のしかも朝早い時間なので駐車場もがらがら。
あたみ桜は河津桜よりもさらに早く咲く桜である。
あたみ桜が咲き、大寒桜が咲き、それからソメイヨシノが咲く。
熱海は1月から4月まで桜が咲く街である。
ひととき、海を眺め桜を眺めて帰る。
忙しくて疲れたときにパッと来て一晩休養する。
熱海はそんな感じで来られるのがいい。
西湘バイパス・厚木小田原・東名と飛ばして帰り、10時半には仕事に戻る。
さ、確定申告後半戦がんばるぞ(^^
Date: 2012/03/02(金)


税理士法違反?
税理士会の成年後見支援センター、そこの相談員をしているのだが、
相談員の連絡用のMLで、今、ちょっとした議論をしている。
「税理士の資格を持たない成年後見人が被後見人の税務申告をするのは、
税理士法違反にはならないか?」
ということについての議論なのだが、今のところ結論は出ていない。
東京会の支援センターでもそういう議論があったらしいのだが、
そちらでも結論が出なかったらしい。
どうも私は法に不備があるのではないかと思っている。
一言で成年後見と言っても、法定後見と任意後見に分かれるわけで、
法定後見は民法859条により、
後見人は被後見人の財産を管理しその財産についての法律行為について
被後見人を代表する、旨の規定があるので、
税理士法云々の話は関係ないと思うわけである。
しかし、任意後見はどうも違う。
明確なものを見出せないのである。
以下は先日のそのMLでの、
後見人に代理権が付与されていなければ誰が税務申告の意思を表示するのか、
という問いに対する私の発言。

      おっしゃるとおりです。
     被後見人も申告が必要なわけですから、
     法定後見はもちろん任意後見でも通常、
     税務申告も委任事項に含めるわけですよね。
     そうしておかなければ申告できないから3月15日を前にして、
     任意後見を法定後見に切り替えなければならなくなる。
     任意後見の代理権目録に税務申告が入っているのは当たり前なわけです。

      問題はその代理権の付与の仕方だと思うわけです。
     任意後見に関する法律2条にその辺がありますが、
     この条文はあくまでも意義規定なんですね。
     その条文で代理権を付与するという内容ではない。
     任意後見というのはつまり、既存の民法の委任・代理の規定を使ってやる
     という仕組みなんじゃないでしょうか?
     で、既存の民法の委任・代理の規定を使うのならば、
     一般法である民法と特別法である税理士法の関係が生じる。
     特別法は一般法に優先するので、
     民法の規定で代理権を取得しても税理士法違反になるという事が生じる。
     これは弁護士法も司法書士法も同じだと思うわけで、
     任意後見にはそういう問題がありそうな気がするわけです。
     つまり、法の不備があるのではないかと。

ちなみに、弁護士会は任意後見の場合、弁護士の資格を持っていない後見人は
被後見人の訴訟を代理できないと言っているらしい。
MLでの議論のなかには税理士の職域を守るという立場から発言している向きも
あるのだが、成年後見はひとりの要支援者の生活と財産を守るのが趣旨である。
仮に法律を吟味したとき任意後見の場合の後見人の税務申告が税理士法違反で
あったとしても、業として偽税理士行為をしているというわけではないので、
目くじら立てることもないと私は思っているのだが、
法に不備があるのなら正すべきである。
「任意後見人と本人との関係は法定後見の後見人と被後見人との関係と
同じとみなすことができる」
という趣旨の法務省の課長通知は、
行政としては任意後見人も法定後見人と同じに扱いたいという考えの
あらわれなのだろうが、
ならば、一課長の通知で運用するべきではなく、
そのように法律で明らかにするべきである。
この辺について、
このブログを読んでいる税理士の方から意見・情報があれば伺いたいと思っている。
Date: 2012/02/25(土)


パン
ゴールデンレトリバーのさくら、
最近、毎朝パンを食べる。
朝食でパンを食べていたら物欲しそうな顔をして見ているので、
試しに食べさせてみたら、ぱくぱくと食う。
それ以来、毎朝パンをやらないとクーンクーンとせつなそうに鳴いて催促する。
食べさせていて気になった。
パンには微妙に食塩が入っている。
犬に食べさせて大丈夫なのだろうか?
犬の腎臓は人間よりよっぽど小さい、塩分の摂りすぎにならないか?
税理士仲間に愛玩動物飼養管理士の資格を持っているのがいるので聞いてみた。
ちなみに愛玩動物飼養管理士というのは、
ペットショップを経営する人やブリーダーが取る資格であるらしく、
税理士の世界にも風変りなヤツはいるものである。
ま、短歌を作りながら仕事しているヤツよりましかもしれんが...(^^;
で、彼女が言うには、高級なパンは脂肪も塩分も多めだからやめた方がいい、
安物のパンの方がそういうものが少ないので、それなら大丈夫でしょうとのこと。
それって、人間も安物のパンの方が健康にいいということか?(^^;;
ま、それはそれとして、さくらに食べさせるパンは安物でいいとしても、
その傍らで高級なパンを食べていたら、
さくらはまた物欲しそうな目で見てその高級なパンをくれとせつなく鳴くに決まっている。
今後、我が家では安物のパンを食うしかないな。
以前から高級なパンを食っているわけではないので、別にいいんだけど...(^^;;;
Date: 2012/02/22(水)


そう、あれは
  そう、あれはこの世にあったものダム湖の底をよぎる橋梁

今月の結社誌が届き、自分の歌を探してみたら、この歌が載っていた。
峠から見たダム湖の一連、ダム湖の底に沈んだ村の橋を詠ったもの。
この歌、かなりの字足らずである。

  そう、/あれはこの世に/あったもの/ダム湖の底を/よぎる橋梁

初句2音。
字足らずというのは不全感が出るわけで、
短歌ではあえてその不全感を使うために字足らずにすることもあるのだが、
実はこの歌、作ったとき字足らずだということに気がつかなかった。
出詠したあと、自分の詠草を読み直していて字足らずに気がついた。
歌を作るときというのは、自分の頭のなかで声に出して読んでいる。
その調べ、韻律、そういうものを吟味しながら作るわけで、
何度も頭のなかで声に出して読んでいるし、
最後は実際、発音して確認するわけである。
しかし、字足らずに気がつかなかった。
初句2音といえば相当な字足らずなのだがそれに気がつかなかったのである(^^;
なんで気が付かなかったのか考えてみた。
2句の「あれは」が初句と2句の両方にまたがる形になっている。
さらに、「そう」のあとの読点。ここで一拍入り、「あれは」に続く。
この読点と言葉の流れの関係で破調に気がつかなかった...ということか。
声に出して読んだとき、「そう」のあとで不全感は確かにあるのだが、
それは読点で一拍あいているためであるように錯覚してしまう。
そして、「そう、あれは」が初句のように思え、
続いて「あれはこの世に」が2句のように思える。
実はかなりの字足らず、破調なのだが
言葉の流れと読点の効果でそういうふうに読んでしまう。
作っていたときそんな錯覚が生じていたのかもしれない。
字足らずに気がついて読み直したとき、
「ううーん、こういう作り方もあるか...」と思った。
錯覚の利用。
やろうと思ってやるのはかなり難しい気がするが、
作歌のひとつの手法として頭に入れておこうと思った。

Date: 2012/02/20(月)


金融緩和
先日、日銀が金融緩和に踏み出した。
その数日前、国会中継を聞いていたら野党議員の質問でちょうどその話が出ていたが、
そのときの、野党議員から提議されていたそのままの方向に日銀は踏み出した。
この辺では民主党も自民党もあまり政策の違いはないのであろうが、
国の意向、というか国会での批判をかなり日銀は意識したのではないか。
白川総裁は日銀独自の判断と記者会見で話していたが、
どうも役人の答弁みたいで、頼りないイメージの総裁ではある。
いずれにせよ方向としては正しいのであろう。
現在、日本の製造業は円高で苦しんでいるわけで、
その円高をなんとかするためには、
貨幣価値の下落、
つまりデフレを脱却しインフレの方に持っていくことが必要なわけである。
とまらない円高のなかで製造業は国内での生産を諦めている。
日本の製造業の技術を支えていたのは中小企業だが、
彼らも次々と中国や東南アジアの工業団地に移転している。
彼らを日本に引き戻すためにはどうしたらいいか、
物価上昇率1%のインフレターゲットだけでそれが出来るわけではないわけで、
製造業支援の各種施策が必要なはずだ。
しかし、政府の腰は重い。
今回の日銀の決定もようやく動いたのか、という印象はぬぐえない。遅い。
いずれにせよ、市場には日銀が輪転機をフル回転させて印刷する紙幣が出回るのだろうが、
その資金がこの国の未来のために有効に使われることを祈りたい。
金融緩和による景気の下支え、
その先には消費税の増税が待っている。
消費税増税後必ずやってくる景気落ち込み、それを乗り越える体力。
中小企業は金融緩和の今のうちに少しでもそういう体力をつけなければならないはずだ。
Date: 2012/02/16(木)


雪の山なみ
今年は雪が多い。
家の窓から見える丹沢も雪を被っている。
少ない年は雪が降っても数日たつと消えてしまうのだが、
今年は去年の暮れから雪が積もったままである。
雪が積もると山なみは雪のないときよりもくきやかに見える。
ひとつひとつの山襞がくっきり見えるのである。
登りに行きたいという気持ちになるのだが、
1月は年末調整・法定調書、2月に入れば確定申告、仕事の忙しい時期である。
1月の最後の週末、日帰りで檜洞丸に登りに行こうと計画していたのだが、
夜遅くまで仕事をする日が続いて疲れていたので止めた。
若いうちはそれでも山に行ったのものだが、
ある程度の年になってくると、やはり疲れが溜まるのは否めない。
こうやってだんだん山は遠ざかっていくのであろう。
檜洞丸のあたりは丹沢でも一番積雪量の多いところで、
雪の多い年などは稜線に出ると上越あたりの雪稜を歩いているような気分になれる。
遠い雪の山を見ていると若い頃の厳しい登高が思い出され、
せつないような懐かしいようななんとも言えない気分になる。
確定申告が終わったら、どこか雪の山に登りに行きたいと思っている。
丹沢の雪が消えていなければ丹沢でもいいし、北アルプスでもいい。
下山してから温泉にでも泊まってのんびり出来れば最高である。
どこに行こうかと頭のなかで予定を組み立て、
それを楽しみにして確定申告の仕事をこなしている。
Date: 2012/02/13(月)


歌の腑分け
最近、歌会で思うのだが、
言葉にこだわり過ぎても歌は読めない。
そんな気がする。
例えば先週の東京平日歌会では「こぼれる」という言葉が問題になった。
青空から雪がこぼれてきた・・・今朝の欅が美しい、というような歌だが、
歌会での読みは、「こぼれる」というからにはある程度の量のもので、
これは木の枝から落ちてきた雪だ、ということで一致していた。
しかし、私にはそう読めなかった。
確かに「こぼれる」という言葉を辞書的に解釈すればそうなる。
しかし、初句の入り方や一首全体の雰囲気はそういう読みとはそぐわない、と私は
感じたのである。青空に風花が舞っていると私は読んだ。
私の異議に会場は「そんなはずないわよ〜、だって、『こぼれる』じゃない」
と爆笑になったのだが、総評の栗木京子さんは私と同じ読みだった。
似たようなことは先日の横浜歌会でも感じた。
つまり、歌をひとつひとつの言葉に腑分けしてしまい、
この言葉があるからこの歌はこういう内容だ、という批評。
実際、歌を読むときは、その歌で使われているひとつひとつの言葉を分析するのは
必要で、それ自体は批評の当然の手順である。
しかし、そうやってひとつひとつの言葉を分析したうえで、
最後にもう一度、一首全体に戻る。
その歌のもっている雰囲気、韻律、歌から響いてくるもの、
そういうものを一首全体から感じ取る。
そういう作業が必要だと思うのだが、
歌をひとつひとつの言葉に腑分けして、そのひとつの言葉に目がいってしまい、
一首全体に戻るという作業がなされない。
そういうことが結構多い気がする。
言葉にこだわり過ぎて歌を見失う。
最近、そういうことが気になって、
一首全体から伝わってくるもの、そういうものを見落とさないように読みたいと
思っているのだが、これが案外、難しい。
ひとつひとつの言葉が歌のなかでどういう効果を出しているか、
それを考えることはやはり重要で、
一首全体に戻ってそこから感じ取ったものとどう整合させるか、
その辺の兼ね合いが結構難しく、
バランスがとれず逆に読みが混乱してしまったりもする。
結局、その辺の兼ね合いは歌会で読みの訓練を重ねて身につけるしかないのであろう。
歌は31文字の有機体である。
作者はぎりぎりのところで選んだ言葉をその31文字のなかに入れる。
31文字の有機体から伝わってくるものをしっかり読み取りたいと思う。
Date: 2012/02/10(金)


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