東京平日歌会、意外な闖入者があった。
ＴＢＳの取材である。
なんでも最近、短歌や俳句を新聞に載せませんかと電話してきて、
数十万も請求されるという事が急増しているらしい。
結社誌などもしっかり読んでいるようで、
すばらしい歌ですと褒めたあげくに、新聞に載せます、ついては費用がこれこれ・・・、
という話になるらしい。
短歌や俳句をやっている人には比較的高齢者が多いわけで、
ワルにしてみればひっかけやすいのであろう。
国民生活センターでも注意を呼びかけているとのことで、
ＴＢＳがそれをニュースで取り上げるべく取材のためにネットで短歌関係を探していたら、
うちの結社のホームページを見つけ、東京平日歌会が今日だということで乗り込んできたらしい。
ま、取材のために飛び込んでくるのは良しとして、
たいした説明もないままにカメラを回されたりすれば拒否反応が出るわけで、
「なんで、そんなに写真が必要なの？ さっきから随分とっているよね」
「すいません！ 詠草はとらないでください！ まだ未発表のものですから！」
「話をするのはいいけど、顔が出るのはいやなのよね〜」
若いＴＢＳ氏は総スカンをくってしまった（＾＾；
一度、部屋の外に追い出されたのだが、
しばらくして再びノックしてきて、
映像はとりませんから話だけでも聞かせて欲しいとのこと。
写真とか映像をとられることに対する相手の反応をあまり考慮していなかったらしいところは、
まだ経験不足なのか認識不足なのか知らないが、
一度断られても引き下がらなかった根性だけは立派であった（＾＾；；
結局、小林幸子さんが廊下に出て取材に応じ、他の面々は歌会を続行。
で、肝心な歌会の話である。
今回はちょっと自分のことなのだが、
批評を終えてから、「厳しく言い過ぎたかな・・・」と思ったことがあった。
「歌会は知力で戦うゲーム」と仰る岡部史さんのもとで勉強させてもらい、
「歌会は知力と感性をかけて戦うバトル」と思っている私は、
歌会で厳しく言い過ぎたかなとかいうことは普段あまり思わないのだが、
今回はちと思ってしまった。
批評の順番が回ってきた歌を読んだとき、基本的な構造の問題が目についたのである。
上句で感慨を述べ、下句でそれを説明してしまうというパターン。
「歌を作るとき、これをやれば決定的に失敗するというパターンですよね」と言ってしまった。
終わってから、ちょっと言い過ぎたかと思った。
さすがに「決定的に失敗するパターン」というのはどうか．．．。
少なくとも「決定的」はいらなかったよね（＾＾；；；
批評は鋭くなければならないが、不必要な言葉を並べることはない。
みんな真剣に歌を出しているのであり、自分の歌を愛しているのである。
言い訳をするわけではないのだが、
なにかこう、歌会に対する欲求不満をぶつけてしまったような不必要な言葉．．．。
そういう言葉を吐いてしまったような気が終わってから内心していて、
しばし自己嫌悪を感じていたのである。
知力と感性をかけて戦うバトル、そういう歌会をしたい。
そういう欲求があるわけだが、
だからと言って、ものには言い様があるはずだし、
いろいろな人が集まる歌会が、
自分の志向する歌会と少し違うということも当たり前にあることである。
そんなことは分かりきっていることなのに．．．。
以前、全国大会で永田和宏主宰と同じ歌会になったことがあったが、
そのときの永田さんの批評は、
ひとつひとつの歌に愛情を持って接しているような批評だった。
たぶん私にはそれがないのだ。
あのときの永田主宰の歌への真摯な姿勢、それを心の隅に入れておきたい。
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Date: 2010/04/09(金)
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