人には誰も幼い時の思い出がある。 東京で生まれ、小学校一年の時に引越した。今でもたまに、 近所に住んでいた幼馴染の女の子のことを時折思い出す。 記憶が定かではないが、父親が病気で家で療養していたようだ。 一間だけの小さなアパートに住んでいたような気がする。 貧しいその子はその貧しさゆえにいじめられていた。 小さい子供によくある、罪のないいじめなのだが、 やはりその子にはつらい事であっただろう。 昭和30年代。あの時代の貧しさには、しかし未来があった。 彼女も貧しかった少女時代を今は良き思い出にしてくれて いればいいと思う。あの時代の貧しさは誇りにすることのできる 貧しさでもあるのだ。
暗き戸のふいに開きてよみがえる記憶のごとく少女出できぬ
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Date: 2006/05/13(土)
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