税理士は税理士法により税務支援の義務を負っている。 委嘱者の経済的理由により無償または著しく低い対価により云々 という規定が税理士法にあり、 早い話、年金しか収入のない高齢者とか、収入の少ない給与所得者の医療費控除とか、 申告をしなければならないが、税理士に報酬を払うだけの余裕はないという人達のために、 確定申告の時期に2日ほど動員されて、無料相談の会場でそういう人達の申告の手伝いを するわけである。 ボランティアをすることにやぶさかではないのだが、 ただでさえ忙しい確定申告の時期に動員されるのはやはり厳しい。 他の士業ではこういう支援義務というのは負っているのであろうか? 弁護士も無料法律相談というのをやるが、 弁護士会の会員の殆どを忙しい時期に集中的に動員してという話は聞かない。 医師も税理士と同じ無償独占の士業だが、 インフルエンザの季節に会員を動員して無料予防接種会をするというのは聞かない。 どうもこの税務支援の義務というのはおかしい気がしてならぬ。 昔、税理士という資格を作る時に、税務署が忙しい時に税理士に手伝わせようという、 その程度の感覚で作られた義務のような気がする。 役人に法律を作らせるからこういうことになるのであろう(^^; なにはともあれ、税務支援で引っ張り出される二日間が、一昨日と昨日で終わった。 以前と比べれば無料相談もかなりマシになったかな〜。 以前は相談会場に来る人数もかなり多かった。会場が文字通り、人で溢れていた。 医療費控除が5万円以上から控除できたので、 給与所得者の少額の還付申告が多かったである。 それと、わけの分からないヤツが減った(^^;; 昔は、資料もなにももってこないで、それで申告書作れみたいなことを言うヤツが 大抵ひとりかふたりはいたのだが、最近そういうのはいない。 ただ、これは仕方ないことなのだが、 知らないがゆえに困らせてくれる相談者は相変わらずいる。 昨日も、30分かかってようやく申告書を完成させた御老人に、 「じゃ、あちらで申告書の受付していますから提出してください」と言ったら、 その御老人、おもむろにこう言った。 「お聞きしたいことがひとつあるんですが、いいでしょうか?」 「なんでしょう」 「昨年、妻をなくしまして、相続で私のものになった妻の土地を売ったのですが・・・」 「え!? 土地を売った! 」 「はい、売りました」 最初にそれを言ってよ...。分離課税だよ、計算違うじゃん。 耳の遠い御老人に大きな声で説明しながら30分かけて申告書作ったのはなんだったわけ? 御老人曰く。 「年金は年金で申告をして、土地は土地で申告すればいいんですよね?」 だから、そういう素人判断をするなってば(^^;;; 話すべきことは小出しにしないで、最初に全部話す。 税務相談にしろ法律相談にしろ、あとから「実は...」と言われても困るのである(^^
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Date: 2010/01/29(金)
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