*--Diary--*


東北集会  2012/06/22(金)
月山  2012/06/19(火)
学習能力  2012/06/14(木)
さくら遠出をする  2012/06/11(月)
東京平日歌会  2012/06/08(金)
ボストン美術館日本美術の至宝展  2012/06/07(木)
気のあがっているところに行くのが大事  2012/06/05(火)
扶養義務を定めた法律がない?  2012/06/01(金)
湘南歌会  2012/05/30(水)
腰越  2012/05/28(月)


東北集会
翌日、短歌結社の東北集会に参加するため平泉へ。
月山を出、蔵王を越えて太平洋側にはいると、どうもこちら側の方が天気が悪い。
途中、仙台に立ち寄り、宮城県立美術館でルーブル巡回展を見る。
震災後の東北三県を巡回している小さな展覧会で、
展示されているのも小品が多いが、それでも古代エジプトの彫像とか、いいものがあった。
その後、平泉に向かうが心配していた中尊寺周辺での渋滞もなく、
昼前には会場のホテルに着いてしまった。
とりあえずホテルの近くの店で昼食とビール。
歌会の前には必ず酒を一杯ひっかけて日常モードから歌会モードに切り替えて出るように
している。言うならば禊みたいなものである。
東北集会の出席者は18人。
思ったより少なくてホッとした。
歌会は人数が多すぎてもダメで、これくらいが適正規模である。
選者の三井修さんと、仙台歌会の中心で昨年の現代短歌評論賞をとった梶原さい子さんが
いい批評をしていて、なごやかながらも活発な意見が飛び交ってなかなか充実した歌会だった。そのあとは、幾つかのグループに分かれ、
「〇〇さんを伐る」という東北集会独特のプログラム。
結社誌に載っているそのグループの人達の歌を読んで、
それぞれの傾向や問題点を指摘しようというもの。
今までこういうものをしたことがなかったので、
ちょっと戸惑ったのだが、なかなか面白かった。
通常の一首一首の批評とは違うので、あらかじめその人の歌をかなり読みこんで
いなければ出来ないわけで、その点、ちょっと準備不足だったと反省している。
梶原さい子さんが同じグループで、ここでもいいコメントをしていた。
私の歌についても、自分で気がついていなかった部分についての指摘があり、
結構、ためになった。
こういう経験をすると、やはり同じ歌会ばかり出ていてはいけない、あちこち違う
ところに行って、違う人の話を聞かなければダメだということがよく分かる。
同じ歌会にばかり出ていると、井の中の蛙ならぬ井の中の歌詠みになる。
プログラム終了後は懇親会で、一次会が終わるとひと部屋に集まり飲みながらの歌談議
である。私は疲れて途中で風呂に入りに行き、そのあと浴衣に着替えてまた行ってみた
のだが、相変わらず喋りまくっていた。
酒もお喋りも際限がない人達である。
このあとさらに何人かは既に閉店しているホテル内のスナックに立て籠もって飲み続けて
いた。この人達には、呑み疲れる喋り疲れるということがないのか?(^^;
気がついたら夜中の2時。
まったく東北のウワバミ達にはかなわない。
この人達と最後まで付き合っていると命が幾つあっても足らぬ。
翌日は毛越寺と中尊寺で吟行の予定だったが、
さすがというか当然というか、昨夜あれだけ飲んで喋っているので、
吟行やりましょう−!と本気で言う者はおらず、のんびりと観光をして昼食を食べ解散。
山と短歌で過ごした充実した3日間を反芻しながら500kを突っ走って横浜に帰った。
Date: 2012/06/22(金)


月山
東北で年に一回、短歌結社の集会がある。
東北集会と称し、通常の歌会とは別に泊まり込みでやるのだが、去年は震災で中止だった。
誘われてはたと考えた。
そうだ、月山に行こう。
この時期の月山はまだ滑れるはず。
月山に登って頂上から滑り、ついでに東北集会に行けばいい。
朝、5時に家を出て首都高を飛ばす。東北道に入り北へ北へ、さらに山形道へ。
山形道の途中からは月山の白い姿が見える。
月山スキー場に着いたのは10時。
それでも横浜から5時間で来られるというのは、思ったより近い。
で、駐車場から見上げると、
あれ?
雪ないじゃん(^^;
駐車場でスキーの支度をしていた人に聞くと、
「あれが頂上ですよ。そうですね、頂上から滑れるのはゴールデンウィークあたりまで
ですね。来るときに見えたのは月山の裏側です。あっち側は白かったでしょう」
なんと、上の方は雪が消えてる。
実は、月山は初めてなのだ。
遅くまで雪が消え残るところということで、この時期でも頂上から滑れる白い山を
イメージしていたのだが、牛首の上あたりまではどうにか雪があるのだが、
そこから上は綺麗な緑である。
うーん...。
ま、仕方ない、履いている靴は山スキー用の兼用靴。
兼用靴で夏道を歩くのはかったるいので、行けるところまで行き、そこから滑り降りる
ことにする。それならたいして時間もかかりそうにないので、とりあえずスキー場で滑る。
滑っていて気が付いたが、このスキー場、ミーハーがいない。
滑っているのは皆、服装などは地味なのだが、結構上手に滑る人ばかりで中高年が多い。
若いときからがんがんスキーをしているスキーオタクが残雪を求めて滑りに来る。
そんな感じなのだろう。しばらく使っていなかった山スキーでごまかしごまかし急斜面を
滑っていると、今日このスキー場で滑っているやつのなかで俺が一番へたかもしれないと
いう気がしてくる(^^;;
しばらく滑ってから登り始める。
スキー場を出て、稜線の斜面をトラバースするように登る。
天気が良くて暑いくらい。紫外線も強い。
残雪の上を気分良く登っていたら、向こうから人が降りてきた。
こちらに気付き、大声で何か言ってる。
「主人が倒れたんです。助けてくださ〜い」
なんだ!?
行ってみると、高齢の女性。
一緒に登っていた夫が、熱中症にかかったらしく倒れたという。
何度も吐いて二回ほど倒れ、その度に頬を叩いたりして起こして下ってきたのだが、
いよいよだめなのでひとりでスキー場に助けを求めに行く途中だという。
とりあえず場所を聞いて行ってみる。奥さんの方はそのままスキー場に助けを求めに行く。
しばらく行くと60代後半くらいの男性がひとりで下りてきた。
疲れたような歩き方だったので聞いてみると、先ほどの女性の夫である。
息を吹き返して起き上がり、ひとりでまた歩き始めたらしい。
水分は取っているかと聞くと、水はあるので大丈夫ですという。
どうにか歩けそうだが、放っていくわけにもいかず、結局、そこから付き添って下る。
やはりかなり疲れているらしく、途中何度も立ち止まるが、
それでも自力でスキー場まで下りた。
途中、話をしてみるとかなり以前から山スキーをやっている人で、
月山には何度も来ているらしい。
ベテランらしいが年とったら無理はしないことである。
スキー場で随分礼を言われ、お手紙差し上げますからお名前をと聞かれたが、
ただ付き添って一緒に下りてきただけで、別になにかしたわけでもない。
名乗るほどのもんじゃございませんということで、ふたりと別れスキー場を滑り降りた。
結局、たいして登れなかったが、六月のこの時期にこれだけの残雪の山というのは、
やはり捨て難い。下に降りてきたとき、他の人に話かけられだが、その人は頂上まで登り、
反対側の斜面を滑ってきたという。山形道を走っているときに見えた白い斜面である。
コブもなくて滑りやすい斜面なのだそうだ、滑っては登り返しまた滑るということを何度
か繰り返し、またスキー場の方に戻ってきたのだそうだ。なるほどそういう楽しみ方もあ
るのか。いずれにせよ、そこまでして滑るこの御仁も間違いなく山スキーオタクである。
熱中症でプチ遭難していた老夫婦もそうだが、途中で話した何人かの人は皆、
毎年のように月山に通っているらしい。
いずれも若い頃はがんがん飛ばしたという感じの人達で、
言うならば月山はスキーオタクの世界(^^;;;
それだけオタクが集まるのはやはり月山に魅力があるということだろう。
雪解けの道をくだり、駐車場で道具を片付けて今日泊まる温泉に行く。
五色沼のほとりの小さなホテル。
ちなみに、食事は山菜をいろいろ料理したものが出て、なかなか美味しかった。
着いたらさっそく露天風呂に入る。
風呂から眺めると、向こうには残雪の山があり、沼のほとりには水芭蕉が沢山咲いている。
周囲の若い緑も綺麗だ。
頂上には登れなかったが気分がいい。
毎年、月山に通っているオタク達の気持ちが分かる気がした。
うん、月山オタクの仲間入りをしてもいいなと思った。
Date: 2012/06/19(火)


学習能力
税理士会支部の総会、昨年までは横浜西口のホテルでおこなっていたが、
今年は支部事務局から歩いていけるところに新装なった結婚式場。
工事が終わる前だったので、会場の下見が出来ないままでの予約だったのだが、
どうも会場が小さい。総会のあとの懇親会は来賓含めて100人以上入るわけだが、
かなり窮屈だった。
たぶん、来年からまた横浜西口のホテルに戻るのだろう。
さて、その懇親会で地元選出の国会議員が挨拶をした。
面白いことを言っていた。
「消費税率を引き上げないで、税収を上げる! 頑張ります」
頑張ってくれるのはいいのだが、
どうやって?
試しにグーグルでそういう話が出てくるか検索してみた。
金融資産に課税しろ、
法人税率を引き上げろ、
そういう話が出てきた。
金融資産に課税する場合、海外に逃げる金融資産はどうやって課税する?
少額な金融資産にまで課税すれば庶民はタンス預金を始める。
金は経済の血液、市場から金が消えて経済はどうなる?
ただでさえ円高で苦しんでいる企業は法人税率があがったらどうするのか?
まさか、グーグルで出てくる素人の話レベルで国の政策を考えているわけではないと
思うのだが、具体策の伴わない政策を有権者はもう聞き飽きたのではないのか?
出来ない政策を掲げる者達が信用できるかどうか、既に有権者は学習している。
「税率を上げない」という耳障りの良い言葉を語れば、
有権者が喜ぶと思ったらそれは間違いである。
他に語るべきことがあるのではないか?
消費税率を上げないのなら、どうやって財政を健全化させるのか?
消費税率を上げる前にすることがあるのなら、その道筋は?
具体策のないままに耳障りの良い言葉ばかりを相変わらず語っているのなら、
それは学習能力がなさすぎる。
立食パーティーで食事をしながら議員の話はテキトーに聞き流し、
仲間内で話すわけである。
「あいつ、次の選挙出るつもりかな?」
「挨拶に来るのは出るつもりだからじゃないの?」
「ふーん」
選挙に出るのは本人の勝手だからどうでもいいが、
学習能力のない向きは是非落ちて頂きたい。
Date: 2012/06/14(木)


さくら遠出をする
ゴールデンレトリバーのさくら。
今まで遠出をしたことはない。
たまには旅行に連れて行ってやろうかということで、
子供と犬と連れだって那須に行ってきた。
まず、犬と泊まれるところを探すわけだが、
ペット同宿OKとなっていても大型犬はNGだったり、室内犬のみだったりする。
さくらは室外犬。玄関と庭を自由に出入りできるようにしていて、
玄関で引っくり返って寝ていることが多いが、あくまで室外犬である。
室外犬でも一緒に室内で泊まれるところとなると、
旅館・ホテルは無理で貸別荘ぐらいしかない。
で、さんざん探して見つけたのがここ↓
http://www.cottage-shiki.com/
もちろん、汚れた体で室内に入れるわけにはいかないので、
出発前にシャンプーをして爪を切り、
玄関で足を拭く雑巾なども多めに用意して出かける。
たまに車に酔う犬がいるらしく心配したが、
さくらは酔うこともなく、窓から景色を見ている。
首都高を走っているときに、子供がスカイツリーが見えるよと言ったら、
さくらはしっかりそちらを見ていた。
途中途中のSAで出来るだけ休憩をとり、さくらが用を足せるようにするが、
おしっこもうんちもしない。
残念ながら雨模様。那須のアウトレットで買い物をするが、ここでようやくうんちをする。
かなり我慢していたようで量が多かった。犬ながらに、今日は出来るだけ我慢しなければ
いけないとか考えるのだろうか?
スーパーで食材を買って、夜はバーベキューにする。
別荘は敷地内に5棟たっていて、それぞれ駐車スペース、ウッドデッキ、
バーベキュー場がついている。二階建てで一階がリビング・台所、風呂、洗面、トイレ。
二階は二部屋あって、4〜5人は泊まれそうだ。綺麗でなかなか感じがいい。
備品もしっかり揃っている。
雨が降っていたが、備品にホットプレートがあったので、
室内で肉を焼いてさくらにも食べさせる。
なんか、幾ら食べさせてもきりがないみたいな感じで、
結局、牛肉はほとんどさくらの腹に消えた。
翌朝、天気が回復したのでさくらと散歩に出る。
周囲は畑や牧草地で広々としている。農家が少しあるが時間が早いので人通りはない。
リードを外し好きなように歩かせる。少し離れても呼べばすぐに戻ってくる。
鳥を追いかけて走っていったが、畑を踏み荒らすと困るので呼び戻す。
向こうには那須の山なみが見える。
なかなか気分がいい。
朝食をすませ、玄関に鍵を閉めて出かけようとすると、さくらがばっと走っていった。
見ると、管理棟からボーダーコリーを連れた白髪の男性があらわれ、散歩に出るところ。
その人がここのオーナーだった。
ボーダーコリーにじゃれついているさくらを引き離し、鍵を渡して礼を言う。
気さくな感じの初老の人である。
オーナーは普段は東京に住んでいるらしい。そういえば夕べ遅い時間に車の明かりがした
のは、オーナーが東京から着いたのだった。必ずしも客が宿泊するたびに管理のために来
るわけではないらしく、ここはフルセルフサービスで、客は室内に備え付けてある金庫に
宿泊代を入れて帰るのである。人数をごまかすヤツもいるのではないかと余計な心配をしてしまうのだが、割りと鷹揚なオーナーなのであろう(^^
チェックアウトしたあと那須どうぶつ王国に行き、
子供とさくらを散歩させながら那須らしい広やかな景色を眺める。
「嫌なこと忘れるねぇ〜」と子供が言う。
忘れたい嫌なことがあるのかと気になるが、
人の世はそういうものだろう、突っ込んでは聞かない。
帰りにペットOKのカフェに入り昼食を摂る。
そういう店には初めて入ったのだが、客はやはり犬連ればかりで、互いの犬の話などで、
店主も客もすぐになごやかになるのがこういう店の特色なのだろう。
ちなみにこのカフェのオーナー、
ゴールデンレトリバーとラブラドールあわせて7匹飼っているんだそうだ。
すべて散歩させるのに4時間かかるんだそうで、
ここまでいくと最早感嘆するしかない。
世の中には変わった人達がいるものだと思いつつ帰路に着く(^^;
帰りの車内でもさくらはおしっことうんちは我慢していたようだ。
家に着いたら用を足し、玄関の定位置でのびのびと四肢を伸ばして速攻で寝た。
初めての遠出は疲れたのだろう。
Date: 2012/06/11(月)


東京平日歌会
東京平日歌会。
やってしまった...。
ちょっと厳しく言い過ぎたかな...(^^;
東京平日歌会は出された詠草を座っている順に批評していく。
そのあと自由発言になるのだが、
私の順番にまわってきた歌は昨年の震災を詠ったものだった。
3.11を忘れてはならないと、遍路旅で経を読む、
というような歌意の歌。
震災に限らず、戦争でも事故でも、あるいはもっと身近な出来事にしても、
失った者は忘れることが出来ないのである。
失わなかった者は忘れることが出来る。
震災で家族を失った者は、忘れたくても忘れることが出来ない。
3.11を忘れないようにしましょう、とスローガンのように言うとき、
そこには失わずにすんだ者の傍観者的視線が感じられる。
忘れないとことさらに言わなくても、
忘れられない人達が沢山いるのである。
ことさらに言う人はそういうことが分かっているのだろうか?
そんな気がして、順番に回ってきたとき言ってしまった。
「3.11を忘れてはいけませんとかいう、小学校や中学校の優等生が言う
みたいな言葉を持ってきて一首を立てようとしても成功しない」
歌会が終わってから配られた作者名一覧を見たら、
その歌はその日初めて歌会に参加した人の歌だった。
ショックだったかも...。
真剣な思いで作った歌を「小学校や中学校の優等生が言うみたいな言葉・・・」と
ばっさり切り捨てられるのは、長く歌やっていてもいい気持ちはしないわけで、
まして、初めて出た歌会でそれをやられるのは...。
だからと言ってどうこうということもないのだが、
言い方もう少し考えるべきだったかな...。
「優等生的な言葉」というのと、
「小学校や中学校の優等生が言うみたいな言葉」では、
受け取る側のニュアンスも違うよね...。
この辺の配慮が足りないから、
横浜歌会とかでも師匠の岡部史さんが、
私の批評のあとで時々フォローに回ったりしてるんだよな...。
ずっと前も出された歌について「嫌悪感を感じる・・・」と批評してしまい、
そのあと総評で、「作者のチャレンジだと思うんです」と一生懸命フォローされていた。
ハラハラしながら私の批評を聞いているのかもしれぬ(^^;;
うーん...。
歌会は知性と感性で戦うバトルだと思っているので、
出された歌や納得しない意見をばっさり切り捨てることになんの躊躇いも持っては
いないのだが、
ただ、自分もそうだけど、初めての歌会って記憶に残るよね...。
ばっさり切り捨ててしまったAさん、
なにくそと思って頂き、次も出てきてくださいませ。
歌会とはそういうところであります(^^;;;
Date: 2012/06/08(金)


ボストン美術館日本美術の至宝展
ボストン美術館日本美術の至宝展。
東京国立博物館で6月10日までやっている。
水曜日、午後から東京平日歌会なのでそのついでに行ってきた。
平日なので空いているかと思って行ったら、とんでもない話で、
チケットを買うところからして並んでいるし、そのあとも30分待ちの行列。
ま、高齢者の方々が元気に出歩いて金を使ってくれるのは、
世のため人のためにいいことではある。
明治になって流出した国宝級の美術品の里帰りのような至宝展、見所は、
平安時代の仏画、吉備大臣入唐絵巻、平治物語絵巻、長谷川等伯、曽我蕭白あたりか。
なかでも海を渡った二大絵巻については展示の前は人人人人である。
前列に入ろうとする人達が順番待ちしているが、そんな時間もないので、
後ろからテキトーに背伸びしたりして見る。
たまに隙間があるとそこから要領よく見るのだが、結局、部分部分しか見えない。
ともかく人が多かった。
それでも日本にあれば当然国宝になっている絵巻物をどうにか見ることが出来た。
保存状態はかなりいいようで、色も鮮やかである。
吉備大臣入唐絵巻はなんともユーモラスだし、
平治物語絵巻などは写実な描写と大胆な展開が素晴らしい。
明治の頃、こんな素晴らしい美術品に日本人は目を向けず、
西洋美術こそほんとの美術だなどと思ったのかと思うと、
価値観の大きな変動があった時代だったということは分かるが、
やはりなんともいえない気分。
ただ、それは明治に限らず、私の中学生・高校生の頃も美術の教科書に載っていたのは
西洋美術が多かったような気がする。小学生の頃、永谷園のお茶漬けの付録についていた
小さな浮世絵のカードに惹かれて集めていたのだが、
間違いなくマイノリティーだったのだろう(^^;
入るまでにかなり時間がかかってしまったので、
あとはテキトーに飛ばすようにに見る。
長谷川等伯の龍虎図屏風は大胆な筆致がいい。
等伯の子供の絵も展示されていたが、等伯の大胆さはなく繊細でうまい絵である。
しかし魅力は等伯に及ばない。
等伯の大胆さと華麗さを受け継いだのは子供ではなく琳派だったようだ。
曽我蕭白の雲竜図はかなり大きい。襖絵なのだが、一体どれだけ大きな襖だったの
だろうか。等伯の龍に似ているのだが、蕭白の方がユーモラスな感じがする。
この感じ、誰かに似ているなと思ったら、ゲゲゲの鬼太郎を書いた水木しげる。
あるいは水木しげるは日本の古典美術から影響を受けているのかもしれない。
これだけの美術品を一度に見られる機会はなかなかない。
ほんとはもっとゆっくり見たかったのだが、もう時間がなくなった。
ボストンを見てから昼食は上野御徒町界隈でと思っていたのだが、
上野からすぐに電車に乗り歌会に向かった。

Date: 2012/06/07(木)


気のあがっているところに行くのが大事
「気のあがっているところに行くのが大事」
女流歌人の代表的存在だった河野裕子さんの言葉。
ここでいう「気のあがっている」というのは上気しているとかいうことではなく、
エネルギーが出ている、満ちている、勢いがある、
そんな感じだろう。
つまり、そういうところに自分から出かけて行くことが大事だということ。
今月の横浜歌会は選者派遣で真中朋久さんが来られた。
相変わらずいいい批評をしている。
聞いていてたまに憎たらしくなるくらいの(^^;
ちなみに先週の湘南歌会も選者派遣で花山多佳子さんが来られた。
真中さんにしろ花山さんにしろ、力のある人が来ていい批評をしてくれると、
歌会がびしっとして充実する。
歌会というのはメンバーが固定してしまうとやはり問題がある気がする。
身内だけでやっているような気楽さから、時として雑談に流れてしまうこともあるし、
新しい歌や批評に接することが少なくなってしまう。
特に批評などはパターンに陥りやすいものなので、メンバーの固定化は問題である。
そういう点からはあちこちの歌会を渡り歩いている方が本当はいいのだろう。
私にとっては、結社に入り、一番最初に出た歌会が横浜歌会であり、
横浜歌会で育ててもらったという気持ちがある。
歌会とは知性と感性で戦うバトルだということを教わったのも横浜歌会である。
しかし、残念ながらその横浜歌会もメンバーの固定化がもたらすマンネリと無縁ではない。
というか、固定化すればそうならざるをえないのだと思う。
一年に一度の選者派遣は、そういう点でもやはり大きな刺激である。
力のある人がいる歌会は得るものが多い。
それと、
自分の気が弱っているとき、
気のあがっている人と接したり、気のあがっているところに行くと、
もう一度頑張ってみようという気になれる気がする。
エネルギーをもらえる気がする。
歌会もマンネリになるとそういうものがなくなってくるのだ。
やはり、河野裕子さんの言ったとおり、
気のあがっているところに行くのが大事なのだろう。
自分からもっと出かけなければならない。
人間じっとしていてはいかんのである。
Date: 2012/06/05(火)


扶養義務を定めた法律がない?
大前研一のブログをたまに読む。
経営コンサルティングのマッキンゼー日本支社長などをしていて、
以前はテレビにもよく出ていた論客である。
今日のブログには先日のお笑いコンビ「次長課長」の河本なにがしが、
自分は数千万の収入がありながらその母親が生活保護を受けていたという
件について書いていた。
それにからめて生活保護増加の問題について述べているのだが、
そのなかで、
「いつの間に子供が親の保護をするのが法律で義務付けられたのか?」
と言っている。さらに言うには、
「私の知っている限り、そのような法律はないと思う」
「高所得者の子供には親の扶養義務があるというような法律があるのなら、
税金の還付があってしかるべきだ」
とのこと。
つまり彼の論は、親でも子供でも大人になって独立したのなら別々に考えるべきであり、
金持ちだから扶養するのが当然だと非難するのはおかしいのではないか、
ということである。
まず、彼の言う、
「いつの間に子供が親の保護をするのが法律で義務づけられたのか?」についてだが、
扶養義務については民法にその定めがある。
民法877条は「直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務がある」と定めており、
「次長課長」の河本なにがしとその母親はこの直系血族である。
別に新しい法律ではなく以前からある法律である。
次に、「高所得者の子供には・・・税金の還付があってしかるべきただ」についてだが、
子供が親を扶養すれば当然、所得税も住民税も扶養控除の対象になるわけで、
還付になるかどうかはそれぞれのケースだが、税金面の手当てはなされている。
彼が優れた経営コンサルタントであることには私は異論を抱かないのだが、
彼はたまにこういう妙なことを言う?
昨年、ロシアの大統領だったメドベージェフが北方領土を訪問したときも
妙なことを言っていた。
確か、ロシアの軍事力の70%(だったかな?)は日本に向いており、
これは大変なことになる。日本は領土問題について検討しなおさなければならない、
というような論。
彼はそう言うのだが、
東アジアでのロシアの軍事力増強が日本ではなく中国に対する備えであることは
誰が見ても分かることである。
地球温暖化に伴い近い将来、北極海航路が開かれるのかもしれず、
それは、オホーツク海を通る中国の商船が飛躍的に増えるということであり、
シーレーン防衛のために中国の軍艦がその活動をオホーツク海にまで広げるかも
しれないということである。
オホーツク海は冷戦の時代から、大陸間弾道弾を積んだロシアの原潜の聖域だった。
そこに中国の軍艦が入ってくるのはロシアにとって気にいらないわけで、
北方領土の戦略的位置とその重要性はいやでも高くなるわけである。
ロシアは日本との関係を強化したいと思っている。
国境の向こうには億単位の中国人がいる。一方、ロシアの極東地域の人口は数百万。
移民が流れ込んできたらなにもかも奪われる。
ロシアはそういう恐怖を抱いているのであり、
それに備えるためにも日本との関係強化が必要になる。
関係を強化するにあたって、友好で行くか力で行くか、ということになるわけだが、
力で行けば日本は北方領土を諦める。
ロシアはそう踏んだから強硬な姿勢に出たのであり、
そう思わせたのは尖閣諸島の衝突事件で中国の船長を釈放した民主党政権だった。
と、ここら辺については誰が考えても分かりそうなことであるわけで、
なぜ、優れた経営コンサルタントである大前研一は妙なことを言うのか?
あるいは、だから北方領土はもうあきらめてロシアとのビジネスを拡大しろ、という
方向に話を持っていきたいのかもしれないが、それにしても安易。
私は彼が優れた経営コンサルタントであるがゆえに彼のブログも読むのだが、
あるいは彼は努力して才能を磨いてきた人であって、
天性のアンテナのようなものは持っていない人なのかもしれない。
親の扶養にしろ北方領土にしろ、問題の背景なり本質を理屈ではなく感覚的に見抜く、
そういうアンテナ。
経営者には結構そういう人がいる。
彼にはそれがないのかもしれず、
そういう意味で彼が経営者ではなく経営コンサルタントであることは示唆的かもしれない。
政治家にもたぶんそういうアンテナは必要なのであろう。
彼は以前、参議院選挙に立候補したが落選した。
あるいは有権者は正しい判断をしたのかもしれない。
Date: 2012/06/01(金)


湘南歌会
湘南歌会、気になった歌。
例によって誌面に出る前なのでここには出せないが、
葉桜がゆれると鳥の声がして吹き降りの日の空があかるい、
というような歌意の歌である。
一読、違和感があった。
「吹き降り」というのは、強く風が吹いて雨も降っている、という状況である。
そういうとき、鳥はあまり鳴いたりしないわけで、表現に矛盾がある気がする。
ただ、この歌を選歌した人は、
最近の気象にはこういう感じのものがあり、よく分かるということだった。
確かに最近、気象が変で、
熱帯のスコールみたいに局地的に強い雨が降り向こう側を見ると降っていないとか、
強い風が吹いて雨も降っているのに、向こうの空は明るいとか、
以前ではあまり見られなかった情景が多くなってきたような気がする。
おそらくこの歌の作者もそういう情景を詠みたかったのであろう。
風が吹き、雨がざっと降ったりやんだりしている。
雨がやんだ時、葉桜は揺れ、鳥の声もどこからか聞こえてくる。
しばらくしてまたざっと降ってくるのだが、空は決して暗くはなくむしろ明るい。
そんな情景。
詠わんとした情景はよく分かるのである。
しかし、どうもやはり「吹き降り」がそぐわない気がしてしまう。
私自身、辞書的な意味にあまりとらわれずに歌を読んだ方がいいと思っているのだが、
やはり「吹き降り」のイメージが、鳥の声が聞こえてくるのを邪魔してしまう気がする。
他に適当な言葉はないのだろうか?
降ったりやんだりする雨という意味では「時雨」などがそうであるが、
最近の気象変化の結果のような激しい雨にはどうも「時雨」という古典的な言葉は
合いそうにない。「驟雨」もちょっと違う気がする。
新しい言葉を作るしかないのかもしれず、
あるいは「吹き降り」という言葉がいずれそういう意味に使われるように
なるかもしれない。
実際、言葉というものはそうやって変化していくもので、
だからこそ、辞書にこだわり過ぎてはいけないわけである。
日本人は雨ひとつとっても多様な言い方で四季のうつろいを表現してきた。
春雨、五月雨、糠雨、夕立、時雨、村雨、穀雨、日照雨、驟雨、氷雨、まだまだある。
英語だとrainとかshower、あるいはそれに多少の形容詞がつくぐらいだろうか。
豊かな言語文化を持った日本人のことである。
いずれ、気象変化に伴う激しい雨もなにかしらそれを表す言葉を生み出すかもしれないし、
あるいは既存の言葉で表現しにくければ、
歌詠みはもっと、新しい言葉を作り出すことに意識的であるべきなのかもしれない。
そんなことを歌会の最中に考えていたのだった。
Date: 2012/05/30(水)


腰越
湘南歌会、いつものように午前中に鎌倉を歩く。
今回は鎌倉の西の端、腰越のあたり。
湘南はしらすが旬の季節で、漁港のある腰越にはしらすを食べさせる店が何軒かある。
小田急に乗り、片瀬江の島。
駅を出て橋を渡ると右に江の島が大きく見える。
なにやら久し振りの感じ。
子供が小さかった頃、何度か江の島水族館に行ったが、
それ以降は鎌倉あたりから遠く眺めるだけで江の島には行ってない。
五月の陽光がまぶしい感じで、ああ、海だなぁと思う。
江ノ電の江の島駅の方への道に入るがこちらもかなりの人出。
いろいろな店があってなにやらカラフルである。
江ノ電の踏切を渡り、駅の裏手の細い道から向こう側の通りに出る。
そこをしばらく行った先に龍口寺がある。
鎌倉時代、龍の口の処刑場があったのがこの辺である。
日蓮が処刑されそうになったというのもここで、
元寇のときのモンゴルの使者が切られたのもここである。
それにしても当時、京から鎌倉に入るにはたいてい腰越を通ったわけで、
ゆうならば鎌倉の西の玄関に処刑場があったことになる。
今でもどこかの国では公開処刑が行われているらしいが、
処刑というのはある意味、見せしめであり、秩序維持のひとつの手段であり、
政治意思を示す場であったはずだ。
当然、人知れずおこなうものではなく、
むしろ人通りの多いところでするものだったのであろう。
その辺、現代とは感覚が違う。
龍口寺は、日蓮宗の寺で、日蓮の法難のあと、弟子がその地に寺を開いた。
鎌倉の中心地とは異なり、観光客の少ない静かな寺である。
本堂の裏には五重塔などがあり、くねくねとした散策路になっている。
頼めば鐘を撞かせてくれるらしく、中年の夫婦が鐘を撞いていた。
ここから腰越の通りを東にゆき、腰越の駅を少し過ぎた先に満福寺がある。
頼朝の勘気をこうむった義経が鎌倉に入れず、ここで腰越状を書いたという寺である。
小さな寺で本堂に腰越状の写しが展示されているが、
達筆でなにが書いてあるのか全然分からぬ。
ちなみに現在に残る腰越状というのが、本当に義経が書いたものかどうかは分からない。
義経が頼朝を通さずに勝手に朝廷から官位を受けたのが頼朝の怒りの原因のひとつだった
わけだが、腰越状には、自分が官位を受けたのは源氏の誉れというようなことが
書いてあり、もしこれを義経が書いたのなら、義経は状況分析の出来ない人間だった
ということになる。優れた武将が同時に優れた政治感覚を持っているとは
限らないだろうが、そこまで状況分析能力のない男だったのだろうか?
腰越状はどうも後世に作られたものである気がしてならない。
実際、読んでみると、三文戯作家が御涙頂戴で書いたような文章であり、
後世の読者には受けたかもしれないが、
彼が置かれた状況でこの内容はまずいんじゃないの?という気がする文章である。
鎌倉に入ることを許されず、義経は兄へなんらかの書状は書いたかもしれない。
しかし、義経が書いたオリジナルは今に伝わる腰越状とはかなり異なるのではないか?
満福寺を出て、腰越の通りを再び江の島方面に向かう。
この道沿いに「しらすや」という店があり、しらす料理でちょっとは知られているのだが、
案の定、行列である。20人は並んでいるだろうか。
ここのしらすの沖漬けとか美味いのだが、21人目に並ぶつもりはなく素通り。
川を渡り通りを行った先にある「かきや」に入る。テーブルがひとつだけ空いていた。
ビールとしらす丼を注文。
暑い日だったのでビールが美味い。
しばらくすると、しらす丼が来た。
ま、普通のしらす丼である。しらすやの方には、生しらすやしらすの沖漬けとかを
乗せた丼があるのだが、かきやはいたってオーソドックスな釜揚げしらす丼。
少し醤油をかけて食べる。
うん、美味い。
ぱくぱくと食う。
食っていると次々と客が来た。割りと回転の速い店である。
オーソドックスでもう少し工夫が欲しい気もするが、まあいい。
湘南のしらすはやはり美味い。
食べ終わり、ビール一本でいい気分になり、路面電車の江ノ電が走る道を江の島の駅まで
歩く。今日は天気がいい。ついでに歌会への土産に大仏饅頭を買って江ノ電に乗る。
Date: 2012/05/28(月)


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