年末の忙しい時だが、伊豆の下田に行ってきた。 遊びに行ったのではない、仕事である。 東名で沼津まで行き修善寺を抜けてきた方がいいと先方から聞いていたのだが、 厚木小田原道路で熱海に出、そのまま東海岸を南下する135号で下田に行った。 この道は熱海・伊東・伊豆高原と観光地を通る道なので休日は混む。 しかし、行くのは平日の午後から。 それなら距離的に短いこちらの方が早いと思った。 それに子供達が小さい時、伊豆の東海岸は毎年行っていたので、 勝手知った道を走る方が安心できる。 3時間ちょっとで下田着。 やはり横浜から伊豆は結構近い。 仕事の話は手っ取り早く終わらせ、酒を飲みながらひととき話す。 毎日温泉に入れるリゾートに引越して悠々自適に暮らしているのが羨ましくなる。 自分も年をとったらそういう暮らしをしたいとも思うが、 さすがに下田に引っ越してしまうと歌会に出られそうにない。 翌日、爪木崎を案内してもらった。 今の時期、岬に野水仙が咲くのだそうだ。 行ってみると、水仙祭りとかでそれなりに人が出ている。 海の向こうには伊豆七島がはっきり見える。 湘南あたりからでも大島は当たり前に見えるのだが、 利島、新島、式根島、三宅島などはこの辺りまで来ないと見えない。 地図で見るよりよっぽど近い印象で、 昔からこの辺りの漁民は当たり前にそれらの島と行き来したのであろう。 水仙は三分咲きくらいの感じなのだろうか、もう少し時期を遅らせた方が 満開で綺麗になるのかもしれない。 水仙祭りの会場でさんま寿司を売っていたのでその日の晩飯に買った。 これが美味かった。 さんまの押し寿司で、さんまの甘みにほどよく酢が利いて、なかなかいい。 ネットで調べると、さんま寿司というのは紀伊半島の方で結構食べられているらしい。 下田のさんま寿司は、昔、飢饉のときに浜に寄せてきたさんまを飯にまぶして食べたのが 始まりだとか、幕末、反射炉の工事で集まった人夫に食べさせたのだとか、諸説ある らしいのだが、紀伊半島のさんま寿司とは関係ないのだろうか? 下田のすぐそばには白浜という場所がある。 和歌山にも白浜があり、房総半島にも白浜がある。 房総の白浜は和歌山の漁民が移ってきて白浜と名づけたのだそうで、 あるいは伊豆の白浜も和歌山の白浜と関係あるのかもしれぬ。 紀伊半島から伊勢湾、駿河沖、さらに伊豆を通って関東へ続く海は、 紀伊国屋文左衛門も通った海の通商ルートだった。 あるいは、さんま寿司も海の通商ルートに乗ってやってきたのかもしれない。 いずれにせよ、下田のさんま寿司、一食の価値ありである。 天気が良ければ青い海原が綺麗なのだろうが、 あいにく曇り空で寒い。 岬の店に入り暖かい甘酒を飲み昼食を食べたあと、 さんま寿司の土産を持って帰路に着いた。
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Date: 2011/12/27(火)
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