所属する結社が毎月出している結社誌に「風炎集」というコーナーがある。 毎月2人が16首の連作を出す。 自由投稿ではなく、編集部が作者を指名する。 先月、その風炎集の出詠依頼が編集部から来た。 受け取ったとき、なんで? と思った。 風炎集は以前にも出詠依頼があり作品を出したことがある。 まだ出したことのない人に依頼してチャンスを与えるべきだと思い断ろうと思ったが、 念のために昨年の結社誌を調べてみた。 そこで初めて気がついた。 風炎集はその年の昇欄者に出詠依頼が来るのである。 作品1から月集への昇欄者と作品2から作品1への昇欄者。 その人達が歌を出している。 結社に入って8年全然知らなかった。 毎月2人で一年24人。 その年の昇欄者が24人に足らないと穴埋めに他の人のところに依頼が来るのだろう。 以前に依頼が来たのはつまりこの穴埋めだったわけである。 ちなみに先月号の風炎集は、 選者の真中朋久さんと昨年の角川短歌賞を受賞した大森静佳さん。 このふたりも穴埋めである。 ふたりともさすがに実力者でいい歌が並んでいる。 真中さんは私とは歌の傾向が違うのだが、 とある日の火事騒ぎから始まって、一連の立て方はやはり上手い。 大森さんも見事である。 ちょっと手慣れたような感じのする歌があるのが気にはなるが、 大学生でこれだけ詠うのは将来恐るべしと言うしかない。 で、仕方なく引き受けたわけだが、 なんでよりによってこんな時に...と思うしかないわけである。 先月、父を送った。 人が死んだときというのはただ葬儀を出せばいいというわけではなく、 しなければならないことが沢山あるのだ。 しかも仕事は確定申告の一番忙しいとき。 毎日遅くまで仕事をしなければ終わらないという時期だ。 さらに2月は今年一年担当することになった誌面時評の担当月。 ふたりで交替に書くわけだが、偶数月は私の担当である。 これだけ重なっているときに2月20日までに毎月の十首出詠のほかに、 さらに16首の連作を出せと...?
出来るわけないだろう!(^^;
うちの結社は俺をつぶしたいのか!? と世界の真ん中で怒りを叫びたくなるわけだが、 そんなこと言っててもしょうがない...。 編集部は千人からいる会員のひとりひとりのプライベートな事情まで 承知しているわけではない。仕方ないか...。 締め切りまであと一週間。 どうにか歌数だけは作ったけど、作った感じを排除できない歌ばかりで、 しかも連作としてまるで構成できない。 連作はテーマの歌だけあればいいわけではなく、 間に入れる地の歌が重要である。 それが全く作れない。 いくらなんでもこんな時に...。 今回の風炎集は勘弁してもらうような歌しか出せないと弱音を吐くしかないわけだが、 「ごちゃごちゃ言うとらんで歌を作る。それだけです」という河野裕子さんの声が かの世から聞こえてきそうな気がする。 溜息をついて今夜も睡眠時間を3時間に削って歌を作る。 結社のMLに選者や選者級の人のメールもたまに流れるわけだが、 「こんな時間までなにやってんの?」と聞きたくなるような時間にメールを 出していたりする。大抵の歌人は仕事を持ちながら歌を作ったり評論を書いたり、 結社の仕事をしたりするわけで、結局、睡眠時間を削るしかないのであろう。 歌は命を削るね(^^;;
|
Date: 2011/02/12(土)
|
|