奥多摩での仲間の遭難、捜索が続いている。 既に遭難して一月経過し、生還の望みはないわけだが、 本人も家族のもとに還りたいだろう、家族も遺体であっても還ってきて欲しいだろう。 山岳会の仲間で休日の度に捜索している。 祝日の昨日は、惣岳山から小河内峠の北側斜面を捜索した。 ここには水久保沢が入っているのだが、 稜線の登山道には二箇所ほど北側斜面がかなりの急勾配で切れ落ちているところがあり、 ここで転落すればかなり下まで落ちるだろう。 2チームに別れ、その二箇所をザイルで懸垂下降して調べる。 私のチームの担当したところは、稜線から懸垂する支点が見当たらず、 仕方なく急な斜面を細い木につかまりずり落ちるようにして、 もう少し下の支点に使えそうな木まで降り、そこからザイルで懸垂下降したのだが、 捜索する我々の方が転落しそうな際どいところだった。 かなりの急斜面でそのあとも連続懸垂で180m降りたところで、 水源林を横断している巡視路にぶつかった。 我々が降りているのは水久保沢の支沢が尾根に突き上げているところであり、 巡視路が横断しているところには木の橋がかかっていた。 仮にこの斜面を転落したら、登り返すのは無理である。 下に行ったとしても橋には気がつくはずだ。 そうするとこの下には行っていない? それでも念の為にさらに沢を下にくだる。 結構下ったなと思うところで本谷に合流し、 その少し下で二本目の巡視路が沢を横断していた。 これ以上、下に行っている可能性は薄いと判断し、 巡視路を歩いて小河内峠に出、その日の捜索を終えた。 結局、今回も手掛かりはない。 疲労が溜まっていくのが分かる。 どこかで捜索の幕引きをしなければならない。 遭難者のことをあまり知らない新しい会員も捜索に従事している。 いつまでも彼等に捜索させるのも可哀想だし、 捜索が尾根から沢に移れば、今日の捜索のように今までよりも捜索の危険も増してくる。 そんなことを考えながら紅葉が美しくなった尾根を下山した。 今度の週末も仲間達は捜索に入る。 私は子供と金・土で奈良に正倉院展を見に行く予定になっている。 以前からの予定で子供も楽しみにしているので、土曜は捜索を勘弁してもらい、 土曜の夜に奈良から帰り、日曜の早朝、再び奥多摩に入る。 日曜は横浜歌会なのだが、そちらは今回は出席できない。 しばらくはこんな生活が続く。
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Date: 2010/11/04(木)
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