確定申告、この時期、税理士は無料税務相談等に引っ張り出される。 税理士法に定められた税務支援、ということなのだが、 一番忙しい時期に引っ張り出されるのはやはりきつい。 そんな税務相談での一コマ。 相談会場、隣に座っていた税理士に相談者が質問。 「乳児の予防接種は医療費控除で引けますか?」 「ええ、大丈夫です。医療費控除になります」 ありゃりゃ...、そんなことを言っていいのかい(^^; 乳児・幼児の予防接種もインフルエンザの予防接種と同じで医療費控除の対象外。 そもそも医療費控除の対象は法に限定列挙されており、基本的には病気や怪我の治療。 予防は治療ではないので対象にならない。 さらに言えば、健康保険が適用されていれば対象になると思っている人が多いのだが、 基本的には保険の対象・対象外も関係ない。保険医の指定を取り消された医師の治療も 医療費控除の対象だし、健康保険が適用されない交通事故の怪我の治療も 通常はないだろうがもし自己負担があれば控除できる。 納税者の聞いているところで横から「それは違いますよ」と言うのもなんなので 黙っているが、結構こういうことって多い。 先日もとある相談会の会場で、少額の自用分しか作っていない農業所得の赤字が損益通算 できると仰っていた先生がいた。 他に販売せず自用分しか作っていない農業というのは事業と言えるか? それは事業所得ではなく雑所得である。 事業所得の赤字は他の所得から損益通算できるが雑所得の赤字は損益通算できない。 農業所得という区分は所得の計算技術上の区分に過ぎず、要は事業所得か雑所得かで ある。農業所得だから損益通算できるというのは間違い。 自己研鑽していないとこの仕事は厳しい。 こんなことを書いているが、 実は先日の相談会で冷や汗をかいた。 午前中の相談が終わり、他の相談員と一緒に昼飯を食べながら話していた。 「最近は減価償却とかソフトで自動計算するからね。昔と違って手計算してないから、 計算の仕方忘れるよね。相談者にいきなり聞かれたら戸惑うかもしれないな」 そんな話を笑いながらしていたのである。 午後からの相談。最初にやってきた相談者の質問がその減価償却についての質問だった。 「これで計算は合っているでしょうか?」 「ええと...、残存価額引かないで計算してるね、計算違ってるよ。 あっ! 平成20年取得? え〜と平成20年は...、あ、そうだ、 19年4月以降取得は旧定額法じゃないんだ、うん、じゃ、合ってるよ」 プロが戸惑ったような説明していてどうするんだろうね、まったく(^^;; やはりたゆまぬ努力と研鑽が必要なのだ(^^;;;
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Date: 2013/03/05(火)
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