丹沢の雨山峠から玄倉川源流のユーシンに行ってきた。 しばらく前、顧問先の社長から、玄倉林道が通れなくなって以降、 ユーシンが渓流釣りのパラダイスになっているという話を聞き、 どうなっているのか、一度行ってみたいと思っていた。 釣りは昔、黒部や利根の源流を歩いていた頃、 仲間の竿を借りて少しやったぐらいで、それ程興味はないのだが、 ザンザ洞、石小屋沢、同角沢、モチコシ沢、かって歩き回った玄倉川の、 その沢登りの拠点だったユーシンが、その後どうなっているのか見てみたかったのだ。 林道は通れないが、表丹沢の雨山峠を越えて玄倉川の源流域に入る昔からのルートがある。 小田急の新松田からバスで寄、そこから雨山峠に向かって歩く。 舗装道路が沢沿いの道に変わり、植林の中を通ったりしながらだんだん高度を上げてゆく。 雨山峠から鍋割山に登ることが出来るので、他にも多少の登山者がいる。 峠の少し手前で左の支沢に入った。 歩いていて奥の方に赤い目印のテープがあったので、そちらに行ったのだが、 すぐに道は消えてしまった。 テープは測量用かなにかのテープだったのだろう。 登山道でないことは分かったのだが稜線はすぐそこである。 ここまで来たら、ここから稜線に出て峠に行ってもたいして変わらない、 そう思ってそのまま進んだ。 これが失敗で、いつもの山岳会のメンバーであれば全く問題なかったのだが、 今回は登山の初心者4人を連れての山行。 稜線直下の急なザレで初心者二人が動けなくなってしまい、 仕方ないので、下に引き返し本来の登山道から峠に上ってくるように伝えて、 ザレを登れた二人と稜線から峠に急ぐ。 二人を峠に残して登山道をしばらく下ると、支沢から戻ってきた二人に会った。 やれやれ...(^^; 雨山峠は静かで小さな峠である。 峠からは細い道が玄倉川の方に続いている。 他の登山者達は鍋割山に向かい、我々はその細い道をくだる。 人があまり通らないらしく、ところどころ道が崩れているところもある。 途中、初心者の一人が道を踏み外して谷の斜面を落ちるというアクシデントがあったが、 幸いたいした怪我もなく玄倉川に着いた。林道をしばらく行くとユーシンである。 ユーシンロッジの手前の林の中で鹿の親子が草を食んでいた。 我々に気付き、軽やかに跳ねるように逃げてゆく。 お尻の白い部分が鮮やかだ。 ユーシンロッジは閉鎖されているのだが、 神奈川県のパークレンジャーの車が止まっていた。 林道は通行禁止のはずだが許可車輌ということで入っているのだろう。 途中の青崩隧道が崩壊の危険があるということだったが、 こうやって車が入っているということは、 今すぐにでも崩れるというレベルではないのかもしれない。 ロッジの前の広場でお湯を沸かし昼食にする。 静かである。 紅葉の季節、ここにベースを置いてこの辺の沢を登ったら気分がいいだろう。 山が好きな人間にとっては、多少不便になっても、 余計な観光客が入れなくなって山が昔の姿に戻ってゆく方がいいかもしれない。 騒々しくない、本来の山が楽しめそうだ。 ロッジの裏に水を汲みに行った仲間が戻ってこないなと思っていたら、 なんでも巨大なスズメバチの巣があって、水を汲むのにしばらく怯んでいたらしい。 シカといいスズメバチといい、人がいなくなって自然が濃くなってきているのだ。 のんびり昼食をとり、再び峠を越えて帰路に着いた。 ユーシンはもともと峠越えをするか玄倉川を遡らなければ入れない秘境だったのだが、 林道が出来て誰にでも入れるところになり、県のロッジが作られた。 中学生や高校生の林間学校などにも使われたのだが、 林道が通れなくなったことで、再び秘境に戻るのだろう。 このまま秘境にもどって欲しい。 そんな気がした。
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Date: 2009/09/24(木)
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